そろそろ忘れそうな大阪弁

「記憶が頼り」という間違った言語採集。たぶん河内方言風味。

ザ行とダ行とラ行

2007.01.12 Friday
つれづれに

祖父は私が生まれる前に他界したし、諸事情で物心ついたときから父親というものは家にいなかったしで、祖母・母・兄・私の四人家族でした。で、この家の大人二人が二人ともザ行とダ行とラ行の弁別があやしい人たちでした。

意外というか、軽度だったのが祖母。綴りどおりの発音など意識せずに済んでいることが良い方向に作用していたのか、音が変わらないんですよ。聞いてる側が「ザなのかダなのかわからん」と区別できない音になっているだけで、調音法がコロコロ変わったりしないんですね。この3つ、調音点は同じか似たようなもんで調音法の違いで区別がついてるだけですから、摩擦の強弱やら破裂の強弱があいまいだと聞き取りづらくなります。

上の段落を読んで「わけわかんねえよ」とお感じになった方は、「ダ」と発音したときの「何かがはじける感じ」を徐々に弱めてみると「ラ」の気配が忍び寄ることを感じてください。難しいことを書いてそうですが、それだけの話です。

この地域の年配の方全般に言えることですが、ダ行の破裂が弱くラ行との聞き分けがしづらい、また当人も別の音かどうかを気にしていらっしゃらない、という場合がそれなりにあるように思います。ええ、誰もが強い巻き舌でしゃべると信じ込まれていそうな河内弁地域ですが、そういうわけでもないのです。ダ行の破裂が弱く、ラ行で舌が硬口蓋をポンと叩く音は強め・舌が浮いてる時間短め(=ラ行らしさを発揮する時間が短い)、というような印象。

ダ行の破裂の弱さも河内弁=巻き舌イメージの強調につながっていそうな気がします。ダ行であるべきところがラ行のようにも聞こえる音で発音されるので「ラ行の人たち」という印象が過剰に強くなっている、なんて事情はないんだろうか。いえ、実際に巻き舌のラ行を聞く機会もしばしばあるんですけどね。

そんなこんなもありまして、祖母の言葉を思い出して書く際に「ザ行/ダ行/ラ行のどれで書くべきか」という問題で悩むことがこれまでのごくわずかな記事でもあったような気がしますし、今後もたくさん出てくるのだろうと思います。結論としては、「どれが正解なのか、わからん」というのを何となく正解として採用しておきます。録音を繰り返し再生して破裂の加減に聴覚を集中して…ということができないのですよ。その録音が、ない。

なぜかザ行とダ行の区別ができない母の場合は、テレビ等で面白おかしく和歌山の年配の方が話す様子をとりあげていることがありますが、あのレベルで区別できなかったり「言おうとしても言えない」ことが多々あるようです。不自然に口腔・唇・舌に神経を集中しているのがわかる状態で、

「で!…ちゃう。えーと、で!…ちゃうねん。でったいでつめー!(絶体絶命)…あかん、言われへん」

と練習していたことがありました。

15年ほど前、居間のコタツの上に母が書いたメモが置いてあって「月曜・じどうさんそうじ」と書かれていました。近所の地蔵(じぞう)さんの掃除をする日だ、というのがメモの内容だったのですが、少し切ない気持ちになりました。

そんなわけで、各種メディアで「和歌山弁の特徴」としてとりあげられているのを見聞きするたびに「和歌山生まれでも和歌山育ちでもなければ和歌山在住経験も和歌山勤務経験もない、うちのオカンもそうなんだけど、なあ」と、なんとなくすっきりしない心境になります。

    author : | comments (0) | trackbacks (0)

    Serene Bach 2.09R・コメント受付機能修正パッチver0.01による不具合

    2007.01.12 Friday
    おしらせ

    タイトル長い。

    現時点では、12日00時30分頃に最新のコメント受付パッチ(ver.0.02)を適用済み。

    ver 2.09Rにはコメント受付部分に不具合があって修正パッチを用意しましたよ、という情報は察知していて、そのコメント受付パッチ ver 0.01とやらを適用してあったのですが。

    11日にコメントなるものをいただいたので、びくびくしながらコメントをつけてみたのです。すると。

    1. 投稿時にエラー画面を拝まされる。
    2. 「最近届いたコメント」的な欄に反映されるはずなのに、何も起こらない。
    3. エントリー下のコメント数表示が0のまま変わらない。

    再構築をしてみると「最近届いたコメント」の欄には反映されるようになったのですが、コメント数表示は0のまま。仕方がないのでソース眺めてデータファイルの該当個所を特定して手作業で2に書き換えました。これで表面上何事もなかったような形に。

    でも、コメントをいただくたびにエラー画面を見せてしまうのもどうかと思うし、毎回手作業であんな書き換えをするのもどうなんだろう、と思ってsb開発研究所へ行ってみました。

    Serene Bach ver 2.09Rにおけるコメント投稿について

    (略)

    コメント受付パッチ ver 0.01にバグがありましたので、2007/01/10 03:30よりver 0.02を公開しております。

    そうですか。この前、修正パッチを適用した直後にさらに修正されていましたか。

    1. 07日:開店
    2. 09日:パッチver0.01適用
    3. (10日:パッチver0.02公開)
    4. 11日:コメントつく。コメント書く。何かがおかしいことに気づく。
    5. 12日:パッチver0.02が公開されていることを知って入手、適用。

    どうも、修正パッチを適用するタイミングや、そのパッチの修正品が公開されていることに気づくタイミングが悪いです。こんなことだから世の中うまく渡っていけないのでしょう。

    とりあえず、コメント投稿をしてもエラー画面に出くわしたり、随所に投稿が反映されなかったり、という現象が解消している予定。

      author : | comments (0) | trackbacks (0)

      よって(に)

      2007.01.12 Friday
      そろそろ忘れそうな大阪弁 > ヤ行

      あまり文法的なことで悩みたくないので、動詞が前に来る場合は何形なのかとかそういうことは触れないことにしておきますが、いまどきの日常会話での出現頻度から考えるとなぜかよく知られている(と思われる)「〜さかい」と同じ意味です。「だから」などの意。アクセントはHHL。「に」が続く場合はHHLL

      いまどき、大阪市内でこの種の「さかい」や「よって」を耳にすることはほぼありません。私と同年代辺りなら理解不能ということはなさそうですが、同年代の人が日常生活で使っているということもなさそうです。古い言い回しなのでしょう。

      例:「ごはん、なあ。さいぜん、せんどよばれたよって入らん」
      (訳:ごはん、ねえ。さっき、さんざんご馳走になったから入らない=食べられない)

      例:「先行とく(いとく)よってに」
      (訳:先に行っておくからね)

      ありとあらゆる状況で「さかい」と置換可能なのかどうかはよく調べてないのでよくわかってませんが、安直に置き換えてもよさそうな気配。

      私は「さかい」よりもこちらの「よって」のほうをよく聞いてきたように思うのです。祖母が「さかい」よりも「よって」をよく使っていたのでしょう。

      いずれ取り上げる予定ですが、「問題ありませんからね」「気にしないでくださいね」という気持ちを込めて言う懐かしい表現「かましまへんよってに」(訳:構いませんからね)は、「さかい」よりも「よって」のほうが似合う気がします。

        author : | comments (0) | trackbacks (0)