そろそろ忘れそうな大阪弁

「記憶が頼り」という間違った言語採集。たぶん河内方言風味。

よろしゅうおあがり

2007.01.10 Wednesday
そろそろ忘れそうな大阪弁 > ヤ行

実際の発音には揺れがあってよろしゅおあがりだったりよろしおあがりだったりします。私が家で聞いていたのは「よろしゅおあがり」。アクセントはHHLLLLH

これはいったい何なのかと言うとですね、「ごちそうさま」に対する返事なのです。食事をきれいに平らげて「ごちそうさま」(家庭内のくだけた会話ですので実際は「ごっそさん」「ごっつぉさん」)と言うと「よろしゅおあがり」という返事が返ってくるわけです。祖母は必ず言っていました。

「ごちそうさま」への返事があるということ自体に衝撃を受ける方もいらっしゃるとか何とか。確かに自分の生まれ育った土地で「そんなものは、ない」のが一般的だったら感覚的にわかりづらいものだと思います。

この表現もあまり聞かなくなったのですが、京都・大阪では、食べ終わったときにこういうやりとりをして育った人たちが親の立場になり、21世紀生まれの子供に「ごちそーさま!」と言われては「よろしゅうおあがり」と返す、ということを毎日しておられる事例もどこかにあるのだと思います。そういう一部のご家庭では受け継がれていくはずなのですが、どうなっていくんだろう。

この先、徐々に徐々に「ごちそうさま」に「よろしゅうおあがり」という返事がある(という地域もある)ことを知らない人が増えていくのではないかと。

そういえば「よろしゅうおあがりは、いただきますへの返事」説をどこかで見たような記憶があるのですが、詳細は忘れました。ともあれ、「いただきます」に対して使っている人もいるようです。

追記:
「そういえば、お粗末様という言葉があったような気がする」と、書いてから思い出しました。全く使わないので存在を忘れてます。よろしゅうおあがりの訳としてはお粗末様(でした)を当てればいいのかな。

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