かんてき
2007.03.28 Wednesday
そろそろ忘れそうな大阪弁 > カ行
近頃、なぜか本来とは別の用途で注目されている気がする七輪のこと。アクセントはLLLH。
基本的に、家の中では七輪が「しちりん」と呼ばれることはありませんでした。母は個人的に祖母の古い言葉に恨みがあったようで(デパートへの就職時に矯正を命じられて相当苦労したらしい。そりゃデパートで「そこぃ並べたあるよって観たっとくんなはれ」では具合悪かろう)、かなり無理をして祖母特有の語彙(実際は地域で広く使われていたもの)を避けようとしていました。
で、母にとっては、七輪をかんてきと呼ぶのも耐え難いことだったらしく、がんばって「しちりん」と呼ぼうとしていたようなのですが今度は「しちりん」が発音できないわけです。大阪ですから。「ひちりん」という発音になっていました。大阪ですし。
そんなわけで、家での「七輪」の呼称は以下のとおり。
- 母:ひちりん
- 祖母:かんてき
- 私:かんてき
幼少時を振り返ってみると、台所にあるガスコンロで調理すりゃよさそうなものも、ときどきかんてきで調理されていました。朝起きたら、祖母がかんてきでおかゆを炊いていたりとか。朝から炭火調理。買い込んだ豆炭(練炭でも木炭でもなく豆炭が常用されてた)を使わんならんとか、そういった事情があったのか、単なる祖母の気まぐれだったのかはよくわかりません。
現在30代ぐらいの人なら「しち」という発音もできますし、さらに若い人なら「質屋」を「ひっちゃ」「ひちや」と言うことすらないのかもしれません。国語教育って強力だな。
いまどきの20〜30代の大阪生まれ・大阪育ちの人を捕まえて尋ねても「かんてきって何ですのん?えー、七輪のこと?そんな言い方知らんかったなぁ」となる場合が多いような気配を感じます。
最近は「ああ、またかんてきで自殺者が…」などと、意識的に七輪と呼ばないようにしている自分がいるような気がします。
Comment
アスファルト舗装をしている現場で、細かい仕上げをするのに、熱く熱した鉄のコテを使います。そのコテを熱するのがまさに「かんてき」です。もし見かけたら、作業している人に聞いてみてください。これは多分全国区です。