そろそろ忘れそうな大阪弁

「記憶が頼り」という間違った言語採集。たぶん河内方言風味。
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いぬ

2007.01.24 Wednesday
そろそろ忘れそうな大阪弁 > ア行

「家に帰る」ことなのですが「(家に帰るために)ある場所から去る」と書いたほうが正確なのかもしれません。アクセントはHH。漢字で書くと「去ぬ」か「往ぬ」なのでしょう。ちなみに「犬」はアクセントがHLです。

古文でナ行変格活用とかいうのがあったような気がするのですが、あの「去ぬ」と元は同じなんだと思います。古文ではないので「いな-しまへん、いに-まっさ、(略)、いの-かいな」と活用させておけばよさそうです。たぶん五段ほどあります。「去ぬる」や「去ぬれ」はありません。

「去ね!(いね!)」と厳しい口調で言うのは、喧嘩腰で「(目の前から)失せろ/出て行け/とっとと帰れ」と言うような稀有な事例です。なぜかこうした部分だけが印象に残りやすくて「河内弁=怖い」になる場合も多々あるようですが、実際の「いぬ」はもっと一般的に普段の会話で何気なく使われるものです。目上の方が「去なはった(いなはった)」りもします。

例:「今日の晩、すき焼きやさかい、ここらで去にまっさ(いにまっさ)」
(訳:今日の晩御飯はすき焼きなので、この辺で帰りますね)

例:「はよ去なんならん(はよいなんならん)」
(訳:早く帰らなくてはならない)

「はよいなんならん」、アクセントはLLHHHLLLです。そういえば、どこにも説明を書かないままL(低)やH(高)でアクセントを表記しています。また書こう。

学校や会社や外出先から「去ぬ」、そして家に着くのが基本です。また、自宅に来ていた客人が目の前から去って帰途についた場合も「お客さん、去なはった(いなはった)」。「去ぬ」はどうやら出発していそうです。帰って到着する意味ではないのです。

移動する人が今いる場所「から離れて」家に帰るというような意味合いなので、家にいるおかあちゃんに電話をしたときに「あんた何時になったら、*家に去ぬん?」と言われることはありません。そういう用法が存在する地域もあるのかもしれませんが。

家にいる家族側から「何時になったら帰って来るのか?」と尋ねるときには、もってくるという言葉を用います。「(家に)戻ってくる」の意。こちらが到着

これは同年代の人でもときどき使っているのを聞くのですが、だんだん聞く機会が減っているように感じます。

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